これはウチの社長からの受け売りなのですが、元来冷凍マグロの製品化というのはセリ場に出せない(又はセリ場で売れ残ってしまった)マグロの有効活用方法として始まったとのことです。
社長は冷凍マグロ取り扱いの最大手出身です。
その当時、水揚げしたマグロは、基本的に築地を始め全国の市場に向けて出荷されていました。
セリ売りで残った大量の赤身のマグロを、大手スーパー向けに販売する為に製品化が始まったとのこと。
なるほど、マグロの製品化にはその根底に「大量消費」や「商品の均一化」が最初からあるようです。
その流れで考えると、マグロの赤身の製品はセリ残りで作れても、こと「脂物」に関しては非常にやりづらい事が良く分かります。
天然のマグロは産地や漁場の緯度や温度等により一本一本個体差が有ります。
脂の乗り方一つにしても、全身脂から、程よい脂、皮べりに薄く脂が乗る等、まさに千差万別です。さらにそこに魚体の大きさも加わります。
200kgのマグロと15kgのマグロとでは同じく骨皮を除去しても出来上がりの製品は月とスッポン位差があります。
このような経緯から生まれたのが「蓄養」物です。
産卵後のマグロを漁獲して、生簀に移し餌を数ヶ月与えて太らせる。
そうすることで、より均一な金太郎飴的なトロが多く取れるマグロを人工的に作ったのです。当然コストが掛かりますので、高級な魚種の本鮪と南鮪が蓄養の対象です。
この蓄養マグロが普及したおかげで、現在日本では回転寿司や大手スーパー、量販店などで「トロ」がいつでも食べる事が出来るようになりました。
その背後には「冷凍マグロの製品化」と「マグロの蓄養」という、二つの要素があったのです。
さてその現状を踏まえて、弊社はどう生き残っていくのか。
とても重要な課題ですし、未だ答えは定まっていません。
ただ一つ言える事は「大手がやらない事、出来ない事をやろう」という事です。
もちろん出来上がりの製品にムラがあっては絶対にダメです。
一つの商品を大量に売るのではなく、お客様のご要望で
様々な形態やグレードに細分化された商品作りを心がける。
その為には、入り口の「マグロの仕入れ」がまずは第一です。
たとえ一本もマグロが買えない日があってもセリ場に通うのは、この仕入れという入り口こそが、より良い商品作りに大切だからです。