極上品のゆくえ

写真は本日のセリのトップバッター、栄誉ある一番手の天然南鮪です。
重さは何と133kg!
日本船がアフリカ大陸南端のケープ沖西側漁場で漁獲した天然南鮪の最上級の物です。
脂はいわゆる「指二本」と呼ばれるもので、手の指を二本並べた位の深い脂です。(その厚さは3~4cm以上も有ります)
鮮度も良く、色目も南鮪特有の濃い赤で脂・鮮度・色の三拍子揃っておりまさに非の打ち所がない極上品です。

しかし地方都市の静岡では、このような大型の南鮪はなかなか売るのが難しいです。
15kg~40kg位の小型のマグロの方がみなさん使い慣れているからです。
このような大型の天然南鮪が一番多く並ぶのは、やはり東京の豊洲市場でしょう。
ほぼ毎日100本以上の大型の天然南鮪が並びます。

ところが、ここのところこのような大型の極上品の天然南鮪が思うように売れず行先を失っていると小耳に挟んだ次第です。
だからこそ、こうやって静岡市場にもポツポツと出荷しているのだそうです。

うちの社長が良く言う言葉に
「選挙の年は、マグロは売れない」
というのが有ります。

折しも現在日本全国で衆議院選挙の真っ只中。
静岡県は、参議院の補欠選挙と二週続けてです。
まさにその言葉が当てはまります。

ここからは私の推測です。
選挙となれば、いきおい会合や接待を伴う会席は遠慮されがちなのではないでしょうか。
ましてや緊急事態宣言は解除とはなりましたがコロナ禍で飲食店さんもまだまだ本調子には程遠いと思われます。

冷凍マグロは主に円建てで輸入される為、円安は仕入れ面ではマイナス要因となります。
さまざまな要因により販売がなかなか本調子にまで好転しません。
仕入れ面でも販売の局面でも、つくづくマグロ業界はここのところ逆風にさらされているなと感じてしまいます。

でも愚痴を言っても始まりません。
現状の中で、なんとか知恵を絞るしかないのです。
やれる事から、コツコツとやっていきます。