メバチマグロの極上品

写真は、先日市場に入荷したメバチマグロの極上品です。
大きさは確か50kg台、一番人気のあるサイズです。
漁場は大西洋。アフリカ大陸の南西部にあるナミビア沖です。
ナミビアのすぐ下には、天然南鮪の最高の漁場で名高い
ケープタウンがあります。
ケープタウンはアフリカ大陸の最南端ですから、そのそばのナミビア沖も素晴らしい漁場という事なのでしょう。

写真をよくご覧ください。
外皮から中心部にかなり近いところまで、網の目状の白い細かな線が層になっています。
これが「トロ」、身に脂がのっている部分です。
中心部の赤いところが「赤身」、ここにもうっすらと白い脂の線が入っているのがお分かりいただけると思います。
このように脂が深く差している極上品のマグロは、中心部の赤身までうっすらと脂の線が差している為、赤身の部分まで美味しいのです。

ここまで脂が深く入ると、鮮度の良さのバロメーターである「縮み」があまり極端には見られません。
赤身の縮みですと、尾の部分を解凍するととんがり帽子のようになりますが、極上品はこの状態でも充分鮮度は良いです。
決め手は赤身の部分の色の透明感です。
これがあるかないかで、評価も変わりますし、鮮度の良し悪しも判別出来ます。
深い脂物で、赤身に透明感が有るものは鮮度も良いです。

以前勤めていた水産会社では、天然物のこういう極上品のマグロは一度も目にした事がありませんでした。
それもそのはず、こういう極上品のマグロは市場でセリ=オークションにかけられるもので加工業が加工するのは、赤身のマグロなんです。
このような極上品は、市場のセリで高値で競り落とされ、高級な寿司店や飲食店に向けて販売されていくのです。
現在、こと脂物に関しては蓄養物が主流になっています。
このような天然の脂物は扱いが非常に難しい為、均一なトロ商材として蓄養物が重宝されてきたという経緯があります。

この写真のような、良い漁場(特殊漁場と呼ばれます)の極上品のトロは、普通の脂物と明らかに脂の質が違います。
きめがこまやかで、味にもこくと深みがあります。
もちろん買う方はそれを分かっているからこそびっくりするような値段にまでセリ上がるのです。