ビンチョウマグロ

写真は、珍しく市場に並んでいたビンチョウマグロです。
大きさは20kg台前半、尾切りの状態でした。
スライスの見本をよく見てみますと、しつかり脂が乗っています。
いわゆる「トロビンチョウ」です。
延縄漁船が遠洋で操業する際、メバチマグロやキハダマグロなどと一緒に
ビンチョウも漁獲されます。
原魚の大きさは大きくても20kg台、小さいものは10kg以下です。
漁獲される本数が多い為、ラウンド(丸)のままで凍結されます。
メバチやキハダ等は基本的にGG(えら、はらわた抜き)の状態で凍結されます。
各地で漁獲されますが、高緯度の漁場では脂が乗ります。
赤道に近い低緯度の漁場は赤身です。
北半球では東沖や北沖、南半球ではフリーマントルやシドニー等で漁獲されるビンチョウは、脂が乗り高値で取引されます。

延縄漁船とは別に、大型旋網船でもビンチョウは大量に漁獲されています。
カツオ共に、主に熱水漁場で漁獲されます。
旋網で大量に漁獲されたビンチョウは
基本的にシーチキン等のツナ缶向けの原料となります。

延縄で漁獲されたビンチョウも、昔は缶詰原料だったそうです。
ただ鮮度も良くて刺身でも十分食べる事が出来ますので、清水や気仙沼等の水揚げ地では昔から刺身で食べていました。
「安くて美味いトロだ」という事に気づいた人達が、徐々にスーパーや回転寿司で販売するようになったということです。
現在では「ビントロ」は回転寿司にはなくてはならないメニューの一つにまでなっています。
今ではビンチョウも日本全国で食べられるようになり、昔のようなキロ100円〜というような相場では有りません。
大体キロ300円台の後半〜脂漁場で400円台というところでしょうか。
取扱数量が多い為、マグロ加工業者にとっては加工場を回す為にもなくてはならない魚種の一つにまでなっています。

紀州等で水揚げされる、近海の生ビンチョウはこれはまた全然別格です。
身がもちもちとして、抜群に美味です。
スーパー等で「生ビンチョウ」と書いてありましたら、ぜひ一度も召し上がって見てください。
きっとびっくりしますよ!