二枚のレコード

今回は店長の趣味の時間です(笑)。

写真の二枚のレコードについてのお話です。
左側が先週静岡市の中古レコード店
「サウンドキッチン」さんで購入した
日本盤7インチシングルです。
米国の著名なシンガー・ソングライター
キャロル・キングの1971年のヒット曲です。
ちなみに発売当時の価格は500円。
今回の私の購入価格は当時と一緒でした。
(と思ったら消費税分高かった!)
題名「イッツ・トゥ・レイト」という
縦書きのカタカナ表記がなかなか良いです。
レコード自体の盤質は、ほとんど未使用かと
思うくらいにピカピカでした。
肝心の音もとても暖かい太い音でした。

右側の大きいのがこの曲が入ったアルバムです。
「キャロル・キング/タペストリー(つづれおり)」
もう20年以上前の事ですが、
ハワイの郊外の中古レコード店で購入したものです。
たしか数ドルの均一コーナーで選んだもの。
このアルバムは当時大ヒットしました。
大ヒットしたという事は沢山出回っているということ。
物体としての希少価値はあまりないという事になります。
ただ内容はとても素晴らしいです。
名曲がどっさりです。

196年代前半にザ・ビートルズが出てくる以前、
1950年代のヒット曲といえば基本的に分業体制でした。
歌詞を書く人、曲を書く人、演奏する人、歌う人という感じです。
キャロルキングも作詞家で当時の夫ジェリー・ゴフィンと
コンビを組み、沢山のヒット曲を書いていました。
有名なところでは「リトル・エヴァ/素敵なロコモーション」でしょうか。

ザ・ビートルズ以降は、自作自演のロックバンドが主流になりました。
1970年の彼らの解散以降、米国ではベトナム戦争の泥沼化を受け
より内省的な「シンガー/ソングライター」が人気となります。
1960年代後半、ザ・シティーというバンドで活動を続けていた
キャロル・キングもその流れに乗り、ソロ活動を始めます。
1970年発売の1stアルバム「ライター」は売れませんでしたが、
この2ndアルバム「タペストリー(つづれおり)」は見事大ヒット。
「君の友達」「去りゆく恋人」「イッツ・トゥー・レイト」と
次々とシングルカットされてこちらも大ヒット。
他にもアレサ・フランクリンの為に作った彼女の代表曲
「ナチュラル・ウーマン」や、1950年代の作家時代の曲
女性ヴォーカルグループ「ザ・シュレルズ」のヒット曲
「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー」の
俗に言うセルフカバーも有ります。
この2曲がまたとんでもなく素晴らしい出来です。

米国でキャロル・キングといえば、
例えは古いですがユーミン(松任谷由実)のような感じでしょうか。
ユーミンのヒットアルバムが、ブックオフで安く売られている。
それに近いものとお考え頂ければと思います。
古いロックやソウル等が好きな私からすれば、
「おぉ!米国盤のオリジナルや!」という事で
喜んで他にもまとめて数十枚購入した次第です。
盤の状態はといえば「まあ聴けるから良いか」という感じです。
国民性もあると思いますが、
米国では基本的に「レコードは消耗品」という意識のようです。
状態の良い中古レコードは、あまり多く有りません。
フライドポテトやハンバーガーを食べた汚れた手で、
ベタベタ触ってるイメージを勝手に想像してしまいます。
レコード針の汚れも綺麗にしないから、レコードの溝を
傷つけてもお構いなし。
それでも当時の米国オリジナル盤で聴くと、
ノイズ越しに太い迫力が有る音が聞こえてきます。
私のようなマニアは、ついついこういう細かな違いを
楽しんでしまうのです。

曲の内容は「すれ違いが続いてもう手遅れになりそうな
男女関係について」と言えば良いでしょうか?
彼女の弾くピアノ以外には、ギター、ベース、ドラムスという
シンプルな構成ながら、アレンジの妙で何度でも聴きたくなる。
そんな魅力のある曲です。
彼女の高音部分ですこししわがれる声がまた良い。
まさに名曲、名アレンジ!

(以下、公式Youtube音源です)
https://www.youtube.com/watch?v=VkKxmnrRVHo
(こちらは1971年当時、英国BBCのテレビ番組出演時の生演奏の映像です)
https://www.youtube.com/watch?v=hqwLrJ6QWho