今日の写真は、本日オープンする
静岡鉄道音羽町駅ビル内の新店
「キテゴ」”KITE GO”の告知ポスターです。
自宅側なので、とてもありがたいです。
スーパーが休業中なのは、非常に大変でした。
開店後にまたあらためてレポートします。

さて話は変わりますが、
以前の職場での私の苦い経験を一つお話しようと思います。

ネギトロや切り落とし等、マグロの加工品を扱う部署に
配属された私は、九州出身という事もあり
西日本方面の担当を任されました。
担当と言っても、既に先輩方が開拓した顧客に
定期的に電話をして注文を取る係です。
それがまずは最低限の役割です。
徐々に慣れてくると、新たに別の商品を紹介したり
何とか売上を増やそうと努力します。

そんな中、大手ファミレスチェーン店のメニュー変更に際し、
既存商品の規格変更を求められました。
時代はデフレ真っ只中。とにかくネギトロを安くして欲しいとの事。
原価計算表と毎日にらめっこし、少しでも原価を下げる為に
より安い原料を求めて探す日々が続きます。
先輩に「この油脂が安いぞ」と聞き、
それを使ってネギトロのサンプルを作りました。
自分でも食べてみましたが、味はまあこんなものかな
と思い商談に持ち込みました。
得意先の本社に伺ったのを覚えています。
新商品は少量の個食タイプにも関わらず、
価格設定はかなり抑えました。
その甲斐もあり見事採用となりました。

ところが既存商品からの切り替え当初は
若干流通したのですが、変色のクレームで出荷停止。
大量の不良在庫を抱えることになってしまいました。
不良在庫を履く為に、各地の市場の荷受に
文字通り叩き売りをお願いしました。
その後地方に出張に行き、ある方から言われたのは
「あんなの人間は食わん」という言葉でした。

自分の営業の未熟さを、あらためて思い知らされました。
良かれと思って、お客様の「とにかく安い商品を」
というご要望を何とか叶えようと必死でした。

でもやはり物事には限度があります。
マグロという商材を扱っている以上、
その原魚相場を無視した価格設定では
いずれ破綻してしまう事になるのです。
この場合はマグロの加工品ですが、
それでもやはり使用した原料に
問題があったのだと思います。
安さだけを追いかけて、
品質をおろそかにしてしまったのが、
失敗の原因だと思います。

お客様のお話やご要望をまずはよく聞き、
その上で出来る事と出来ない事を見極める。
それらをすり合わせしていく過程で、
初めて本当にお客様との信頼関係が生まれてくる。
そういう事なのだと思います。

「こんなの誰も食べないよ」
そんな商品を作ってしまった、それが私の苦い経験です。
今でも思い出すと、悔しいのと不甲斐なさで
胸が痛みます。

私は少しはそこから成長出来ているでしょうか？
お客様からのリピート注文を頂くことが、
今の私の大きな支えです。
その事が自信にもつながっていきます。
商売は、全ては商品力。
結局のところ、その源泉は「マグロの質」なんです。
仕入れこそが、全ての始まりです。

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