想いとこだわり
冷凍マグロのセレクトショップを目指して

社長と私には、ある簡単な日課があります。それは毎朝セリ場で仕入れてきた冷凍マグロの解凍した見本「尾」「スライス」を事務所の室温で昼まで寝かせておく事です。こうすることで、今朝仕入れてきた冷凍マグロの本質が明らかになるのです。海水温が低く、餌の豊富な好漁場のマグロの尾には、脂の線がより太く浮いてきます。身質はもちもちとして、ドリップも出ません。赤い色もキレイに残っています。朝セリ場で見た時はとても良い色、鮮度があった筈の魚から、時間がたつとともに大量のドリップが出ることも有ります。

遥か遠洋で漁獲、船上にて即超低温で凍結されて日本の港に運ばれてきた冷凍マグロ。最長100km強の長さの延縄漁法ゆえの問題が有ります。それは鮮度が一定では無い事。100km先の延縄に掛かったマグロを吊り上げるには、どうしても時間が掛かる。そこで鮮度が落ちてしまうのです。そのまま即船上凍結しても、鮮度は落ちたままです。「脂の乗り」と「鮮度」。さらに「色目」。この3つの尺度が有るからこそ、マグロの目利きは難しい。更に冷凍物となれば解凍してからが本当の勝負。ですから、私達は連日同じ事を繰り返しています。

「今日仕入れた魚は、どうだ?」買って下さるお客様の好みを熟知し、それに見合う魚を仕入れる。朝のセリ場だけでは、その仕事は終りません。解凍してからが本当の勝負。毎日のこのチェック作業が、毎朝のセリ場での仕入に生きてきます。「おたくのマグロは、ものいいねえ!」その一言が心の励みになります。