「冷凍マグロの相場に異変有り?」

東京オリンピックを間近に控えた日本なのに、一向に景気が上向きません。
緊急事態宣言も延長され、オリンピックもほぼ無観客での開催のようです。
なんとも寂しい限りです。

ことマグロ業界に目を移しますと、潤沢な輸入生マグロと対照的に冷凍マグロの市場への入荷数が激減しています。

東京豊洲市場の冷凍バチ40kg上の上場本数は、通常600〜800本位ですが、先週は遂に300本を割る日も有りました。
静岡市場に至っては、二社で100本もありません。
買参人や仕入れ業者の数の方が多い位です。

写真は7/12(月)静岡市場の冷凍マグロのセリ場です。
静岡魚市さんの方は、全部で25本しか有りません。

入荷数の激減により、マグロの単価の上昇が止まりません。
一番安いマグロで、キロ単価900円です。
ちなみに、昨年はキロ単価600円台だったはずです。
600円から900円への値上がりは、弊社のような加工業者にとって大打撃です。
基本的にマグロの可食部分は約半分なので、原魚がキロ100円値上がりすると正味にした製品は倍のキロ200円の値上げが必要です。

ただし、昨年来のコロナ禍で今のところ商品の値上げはしてこなかったいや、出来なかったのが現状です。
緊急事態宣言が継続中の折、それでなくとも厳しい経営環境の飲食店さん達に、値上げをお願いするのは誠に心苦しい限りです。
ただ、原魚がキロ300円値上がりしたから製品をキロ600円値上げするという事は多分どの業者も出来ないと思います。
結局は、中間業者の利益がまた減ることになるでしょう。

入荷数激減の理由はただ一つです。
「昨年の原魚相場が安すぎた」
コロナ禍で原魚相場が低迷したため、水揚げのコストが吸収出来ず遠洋延縄漁船の多くが漁に出なかったのです。
年初より徐々に国内の原魚在庫が減り始めました。
日本のバイヤー達はなんとか船主達に漁に出てもらうべく水揚げ相場(浜値)を上げてきました。
ようやく相場も上昇に転じ、船主は漁に出る準備を。
今度は船員がコロナの影響で集まらず漁に出たくても出れないという複雑な状況なのです。