マグロの種類⑤冷凍本鮪(天然)その①

冷凍物の天然本鮪には、大きく分けて
「スペイン=定置網」と「アイルランド=延縄」
二つの産地があります。今回はまずスペインです。
①スペイン定置網「アルマドラバ」
スペイン最南端のカディス湾で3000年前から続く
伝統的な定置網漁で漁獲されたもの。
産卵のため大西洋から暖かい地中海に回遊してくる
本鮪を、仕掛けた定置網で捕獲する漁法です。
網は複数の区画で構成されており、
特に大きな個体だけを捕らえられるように設置。
紀元前約1200年頃にフェニキア人が
地中海を制して以来、行われてきた漁法だそうです。
写真はその天然本鮪の背カワラ(冷凍)です。
蓄養物と違い、脂の層は薄いですが
本鮪本来の旨みとコクが持ち味です。
スペインでは定置網で漁獲した本鮪を
古くから塩漬け等に加工してきたとのこと。
この定置網漁に目を付けたのが日本人。
漁獲時に出来るだけマグロを傷つけない方法を、
現地の漁師たちに伝授。冷凍して日本に送ります。
冷凍技術の進歩のおかげで、スペイン産天然本鮪が
刺身で美味しく食べる事が出来るようになりました。
採算性の問題から、スペインでは1970年代に
本鮪定置網漁は途絶えかけていたそうです。
日本からの需要の高まりを受けて、
伝統的な定置網漁が息を吹き返しました。
現在のカディス県沖では、
年間約1600トンの本鮪がアルマドラバによって
水揚げされているそうです。
約500人もの漁師がこの漁に従事しているとのこと。
漁獲時に出来るだけマグロにストレスを与えない。
気を配って漁を続けた結果、
以前は8割を日本向けに輸出していたそうですが、
現在は7割がスペイン国内で消費されるとのこと。
蓄養物が主流の現在の日本では、
「スペイン定置網漁」天然本鮪は
若干マイナーな存在になってしまいました。
ただ、一部の飲食店や業務筋では
とても根強い人気があります。
天然物に注力している弊社としましても、
取り扱いを少しずつ初めています。
お客様からの反応も上々で、
手応えを感じています。
蓄養全盛の中で、敢えての天然物の
取り扱いを増やしていく。
そんな道を現在模索中です。

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