前回「蓄養」のトロについてお話しするつもりが、大間のマグロについての話に脱線してしまいました。すみません。
今回も「蓄養」についてです。
以下、2017年度の世界の「蓄養」鮪の国別生産量です。
(水産新聞の資料より)
スペイン 5,040(トン)
トルコ 4,800
マルタ 10,600
クロアチア 2,000
モロッコ 1,000
ポルトガル 100
メキシコ 4,000
豪州 7,000
日本 13,000
合計 47,540
豪州(オーストラリア)のみ「蓄養南鮪」の数量です。
その他は全て「蓄養本鮪」の生産数量です。
これらの蓄養鮪は、そのほとんどが日本向けです。
あらためて見ると、本当に凄い数量ですね。
これらが生で空輸、または凍結されて輸入され日本国内で流通しています。
そのほとんどは、大手の水産会社や市場荷受会社、商社系のマグロ問屋が輸入します。
セリではなく「相対取引」です。
輸入された「蓄養」鮪は、そのほとんどが大手の回転寿司チェーンや大手スーパー、大手の鮮魚専門店等に販売されていきます。
販売する相手が大手であればあるほど、「数量」が必要になります。
マグロの「赤身」はよほどの不漁でもない限り数量を集めるのは比較的容易です。
しかしマグロの「トロ」だけを集めるのは、天然物だけの時代には非常に困難な事でした。
一本一本脂の乗りは異なりますから、規格化/標準化がとてもしづらいのです。
「トロを大量に、より安価に欲しい」
という日本の需要に対して、上記の国々が供給しているというのが現状です。
輸出国にとって、外貨を稼げる蓄養鮪は一種の戦略物資ともいえます。
日本以外の国では、マグロを生食する食文化はほとんど存在しません。
自国の近海で釣ったマグロを太らせて高く買ってくれる国があるなら喜んで出荷します。
高く買ってくれないなら、畜養事業を止めるだけです。
以前お話した、日本近海での畜養とは対照的ですが地中海産の畜養本鮪は生産が当分続くと思われます。
オーストラリアの畜養南鮪は、天然物の漁がかなり回復傾向の為、縮小されていく可能性があります。
回転寿司でマグロのトロが気軽に食べることが出来るのは、世界の「畜養」マグロが日本に集結しているからです。
ただ、「畜養」マグロの問題はギトギト脂が強すぎる点です。
今回の写真は、ウチの社長が食べてきた大手回転寿司チェーン「かっぱ寿司」さんの「天然南鮪の上赤身」1皿300円です。
そうなんです。
前言撤回するようで恐縮ですが、大手回転寿司チェーンでも「天然」物の取り扱いを増やしてきているのです。
「畜養」と「天然」の戦い。
今後更にヒートアップしていくと思います。
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