漁獲されたマグロ

写真は6月15日に静岡市場に水揚げされた日本近海で漁獲された生マグロです。
漁法は旋網です。
20kg台と小さめですが、れっきとした「本鮪」です。
判別方法としては、マグロの尾に近い方の下部にまだらに「斑点状の模様」があるのがお分かりにますか?
この模様が本鮪特有のものなのです。
写真を見ただけでマグロの種類が分かると通っぽくてカッコよいですね。

ただ、このマグロもこのまま生育を続けていたらもっと大きく成長して、価値が上がったはずなのです。
あーっ、もったいない!マグロがかわいそうです。
私なんかついそう思ってしまいます。
マグロは魚体の大きさによって価値が異なります。
「程よいサイズ」というのが種類ごとに存在しますが、基本的に稚魚<幼魚<成魚と大きく成長した方が値段は上がります。

数量✖️単価=マグロの値段ですから、
成長する=数量が増える
成長する=単価も上がる
つまり、大きくなったマグロを漁獲した方が圧倒的に価値が高まるのです。
だから、小さなマグロを漁獲して販売するのは何重もの意味で「もったいない」のです。

写真の本鮪を一例としますと、
20kg✖️1,800円=36,000円
20kgのマグロが成長して100kgになり、
脂が乗って倍の単価3,600円になると
100kg✖️3,600円=360,000円
なんと10倍の金額になります。
(100kgの本鮪はザラですし、200kg強にまで成長するのもいます。単価も控えめに見ています。脂が良ければキロ数万円もあり得ます)

産卵時期の動きが止まったマグロを旋網で漁獲して(まさに一網打尽とはこの事です)腹を捌いて卵は魚の餌にして販売する。
旋網漁法だから魚体は擦れて傷ついて、値段も出ない。
簡単に獲れるから、獲れた分全部を一度に市場に出荷する。
数量が多く価値もあまりないので、安値にしか評価されない。
産卵する前に卵を取るから、ゆくゆく数は減るばかり。
まさに悪循環です。

漁師さんは、魚を獲るのが仕事ですから目の前に魚がいれば本能的に獲ってしまいます。
これからも安定して漁を行っていくためには、適正な資源管理を行うしかありません。
日本近海のマグロ漁の現状を見ていると、このままでは貴重な資源がなくなってしまうそんな事が頭をよぎります。

釣れた魚は、隅から隅まで美味しくいただく。
でも、小さな魚は獲らない・獲らせない。
何故そんな子供達でも分かるような事が出来ないのか、日本の漁業の大問題だと思います。

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