貴重なトロキハダ

写真は先日仕入れて加工した
「トロキハダ」の胴中のスライスです。
キハダは海水の表層部分を泳ぐ為、
基本的には「赤身」のマグロです。
ごく稀に高緯度の漁場では
脂が乗る時が有ります。
非常に珍しいので、なかなか市場には
出回りません。大抵が尾切りの状態で
相対取引される事が多いです。
何十トンも尾切り選別しても、
数本トロキハダが出るか出ないか。
それ位に貴重なマグロなんです。

何とか製品出来ないかと、
以前からずっと考えていました。
しかし仕入面も販売面でも、
非常に難しい部分があるのです。

1.仕入れが安定しない(数量が限られる)
上記のようになかなか市場に出回らない為、
問屋間で常にアンテナをはっておかないと
仕入れる事が難しいです。
業者が尾切り選別した時に、もし脂が出たら
すぐに案内してもらえるようになるのが理想的です。
脂の乗りと鮮度は、その時々で異なりますから
漁場やロットの選択が大切な要素になってきます。

2.販売先が限られる(好みが分かれる)
ここ冷凍マグロの水揚げ港の静岡市清水港近辺でも、
めったにトロキハダにはお目にかかることが有りません。
トロの範疇で言えば蓄養物も多く出回っていますし、
天然物まで合わせると沢山のマグロが有ります。
そんな中でわざわざ「トロキハダ」を取り扱う
必要性がないのだと思います。
本鮪、南鮪、メバチマグロ、ビンチョウマグロ等
もっと扱いやすい魚種が他にも存在するからです。
主な消費地はお隣の山梨県です。
昔からトロキハダが好まれる地域です。
大抵の場合は、尾切りの状態で山梨に陸送されます。

トロキハダの肝心のお味はと言いますと、
軽くてあっさりとしています。
しつこくない美味しさです。
時期によっては、近海の生キハダにも
脂がのることがあります。
キハダマグロで「脂有り」のコメントや
販促シールを見かけたら、
ぜひ一度召し上がってみて下さい。
なるほどと思って頂けると思います。

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