マグロの流通の基礎知識

先日有るところから、取材の申し込みを頂戴しました。
このつたないブログを読んで下さったようで、
直接お話を聞かせて欲しいとの事です。
ありがたいやら、何とも恥ずかしいやら
ちょっと戸惑っています。
事前に先様にマグロについての基礎知識を
持って頂きたいと思い、文章にしました。
一気に書いたのでやや雑ではありますが、
我ながらけっこう上手く書けたと思いましたので
このブログに転載しようと思います。

(マグロの種類)
本鮪(=クロマグロ)、南鮪(=インドマグロ)、メバチ、
キハダ、ビンチョウ(=トンボ)等
ex:カジキはマグロではありません。カジキという魚種です。

(生と冷凍の違い)
もちろん基本は生です。日本近海はマグロの好漁場です。
既に江戸時代には、マグロを寿司で食べていたそうです。
保冷技術がない為、痛みやすい「トロ」の部分は捨てていたそうです。
戦後の高度成長期に冷凍技術が進み、
日本から遠く離れた遠洋の船上で、
凍結して陸上の冷凍庫で保管。
冷凍状態での流通が日本国内で定着していきました。

(メリットとデメリット)
味と食味は断然生の方が上です。
ただ日持ちがしないので、使い切るのが大変です。
マグロの魚体は大きいもので100kgから200kg位です。
冷凍は丸魚のままで、超低温冷凍庫(−50℃以下)の保管でしたら
数年持ちます。皮を剥いて製品にすると、箱に入れても乾燥が進みます。
マグロを販売される環境(魚屋さん、スーパー、飲食店等)で
必要な時に必要な分だけ解凍して販売出来るという事で、
冷凍マグロが流通の主流となっています。

(天然と蓄養)
マグロのなかでも一番高単価の本鮪と南鮪には、
「蓄養物」が存在します。直径50m程の生簀に
産卵後のマグロを移し、エビやサバ等の餌を一定期間与えて太らせて
出荷するというやり方です。生でも冷凍でも流通しています。
本鮪は地中海沿岸とメキシコ湾、そして日本近海。
南鮪はオーストラリアで蓄養されています。
回転寿司や量販店、スーパーのトロは基本的に
今やこの蓄養物がメインです。
生は市場流通、冷凍は市場外流注が主です。
蓄養事業には多額の資金が必要な為、
大手商社や水産会社が絡んでいます。
基本的に相対取引です。
「天然物」は基本的に市場流通です。

(市場流通とマグロ)
多品種で大量の農産物と水産物を一度に取引出来るように、
日本各地に市場が作られています。
運営母体は各地方自治体です。
静岡市には静岡市中央卸売市場があります。
荷受会社が二つ以上あるのが「中央卸売市場」。
静岡市場には二社あります(静岡魚市、三共水産)。
荷受会社が一つの所は「地方卸売市場」となります。
静岡市は冷凍マグロの水揚げ量が日本一とも言われる清水港を有し、
隣接する焼津市の荷主からも冷凍マグロの上場がある為、
豊洲市場(東京)、三崎市場(神奈川)につぐ
全国で三番目に冷凍マグロの上場本数が多い市場です。

(静岡市場の冷凍マグロのセリ)
主に冷凍メバチ(と冷凍南鮪)が毎日セリに並びます。
多い時には200本以上です。
一番最初のマグロの種類に戻りますが、
全てのマグロに脂が乗る訳では有りません。
天然物の本鮪は数が少なく、相対取引や豊洲が主体です。
天然南鮪は大きめのサイズが東京、中位が静岡、小さい物が焼津の
各市場でセリにかけられています。
メバチマグロは世界中の海域で漁獲され、脂の乗りや色目と鮮度の差が
非常に大きい魚種です。特に40kg以上は「大バチ」と呼ばれ、
上物と下物では2倍以上の値差が付くこともあります。
ですので荷主は自社で加工するよりも、市場で一本一本セリにかけたほうが
高く売る事が出来ると、連日セリに並べる訳です。
ちなみに静岡市場はバチ40上、清水市場はバチ25上、
浜松市場はバチ15上がセリにかけられます。
それぞれの市場の好み、魚屋さんの趣向に合わせての事です。

(静岡市場の特性)
二社の荷受体制で、場内に仲買さんが十数社有ります。
各仲買さんがセリの買参権を持ち、仕入れたマグロを
お得意先の魚屋さんや商店、飲食店等に販売します。
それ以外にセリの買参権を持つ「場外問屋」や、
弊社のような買い付けをお願いする業者が数多くいるのが、
静岡市場の特徴です。
冷凍マグロの加工業社が数多く有り、市場で原魚を調達する
ところも有ります。
弊社はほぼ市場からの仕入れです。
特に脂物を仕入れています。
一本一本自分の目で見て、いくつかのグレードに仕分けしながら
一旦在庫して後日まとめて加工します。
こうすることで、天然物の脂にもかかわらず
ある程度品質が一定の商品を生産する事が可能となります。
このような事に特化している(脂物の市場からの調達→製品加工)
業社は比較的珍しいと思います。
冷凍マグロの加工業社の製品は基本的に赤身、
トロは天然物は難しいので蓄養物で。
というのが現在の一般的な流れです。
弊社はそのニッチなマーケットを狙って、
日夜頑張っている、そんな感じかと思います。

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