マグロの「漁法」について

こちらは今朝の静岡市場に上場された、日本近海物の天然本鮪です。
産地は山口県の萩、
定置網漁で漁獲されたマグロです。
1番127kg
2番136kg
キロ2000円以上でセリ落とされました。表面にスレなどもあまりなく、綺麗な魚です。
脂も有ります。あとはヤケが無いのを祈るばかりです。

今回はマグロの「漁法」についてお話ししたいと思います。

マグロ漁を分類すると
①遠洋漁業
②沖合漁業
③沿岸漁業(日帰り)
の3つに分けることが出来ます。
(定置網漁も③に入るかと思います)

弊社が取り扱う冷凍マグロは
①の遠洋漁業で漁獲されたものです。
「延縄漁法」により漁獲され、船上で直ぐに凍結。
漁船が寄港するか、または冷凍運搬船に転載されて水揚げされます。

②沖合漁業
先日お話しした大型船による旋網漁が挙げられます。
旋網漁法は効率的に量が確保出来る利点がありますが、資本保護の観点からすると、問題も多い漁法です。
マグロについて申しますとツナ缶の原料は全てこの旋網漁法で漁獲されたものです。

③沿岸漁業(日帰り)
皆さんが良く耳にする「大間の本鮪」はこの部分に入ります。
今回はこの部分を更に詳しくお話ししたいと思います。

③のマグロ漁の中にも更に
a.一本釣り漁法(釣り)
b.延縄漁法(縄)
があります。どちらも狙った獲物のみを漁獲出来るので、
旋網漁法と違い資源管理の面からみても理にかなった漁法だと言えます。
大間の漁師さんはそのほとんどが「一本釣り」だそうです。

年末年始のテレビの特番でよく目にしますよね。
「大間の荒波に揉まれ、漁師が本鮪と死闘!」とか。
調べていきますと、マグロの群れを見つけても餌に食いつくのは先頭の1匹だけなのだそうです。
針の先にスルメイカやサンマなどの生きた餌、各漁師秘伝の擬似餌を群れの先頭に投げ入れる。
マグロの群れを如何に早く見つけるかが勝負の決め手です。
広範囲ソナー等、魚群探知機を駆使しています。
漁師さん達は船団を組んで、情報を交換しながら協力してマグロを探して行きます。

このように一本一本釣り上げて、極力マグロに傷を付けないように最大限の注意を払って扱うからこそ、「大間」という産地ブランドが定着しているのですね。

一方、写真は数年前のものですが、例の「境港」水揚げの「旋網」生本鮪です。
ご覧の通り、表面が傷だらけです。

所々赤くなっている部分もあります。
これは旋網で漁獲された際に網や他の魚とぶつかり擦れて出来たものだと思います。
最も傷みやすいえらやはらわたは抜いていますが、もしかしたら、卵も持っていたかもしれません。

延縄や釣りという漁法と違い、旋網漁法で漁獲した生マグロは一度にまとめて短時間で後処理をする為、どうしてもシミや傷が多い身となってしまいます。
よくスーパー等で細かいミミズのような血栓が入った「生マグロ」を目にすることがあります。
それは多分「旋網」漁法で漁獲された生マグロだと思います。

コロナ禍の緊急事態宣言が未だ続く中、全国の飲食店の皆様は、本当に大変な思いをされている事とお察しします。
納品する側の弊社も、当然ながら苦戦の毎日です。

だからこそ、良い物を出来るだけお安く提供したい。

その一心で今日もセリ場に向かいます。
今日もセリ場で良い出会いが有りますように!
(暴れて苦しんだマグロは、やはり見たくないですね)

自然に感謝、海に感謝、マグロに感謝。
そして頑張る自分達にも精一杯のエールを送っていきたい!
そう思います。

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