問屋の存在意義

以前、お得意先の魚介卸売業者の方から
こう言われた事があります。

「マグロは本当に難しい。わかんないよ。」

その方は業界の大ベテラン。
様々な種類の水産物を取り扱われています。
えび、いか、たこ、貝類等々、生から冷凍まで数多くの飲食店やレストラン、ホテルから旅館までありとあらゆるところへ長年納品なさっています。
そんな方からの意外なお言葉。
ウチの社長にその話をすると、「仰る通りだと思うぞ。納めの問屋ではマグロを扱えたら一人前、何でも出来ると言われるそうだ。」とのこと。

数ある水産物の中でも、高単価の部類に入るマグロ。
その何が難しいのか、よく考えてみました。

思い当たったのが「マグロは重量が大きい」ということです。
通常流通しているマグロは、小さい物では数kg。
大きいものでは数百kgのものまであります。
それに対し、一人がお刺身で一度に食べるマグロの量は
100〜150g位。
マグロのサクは大抵200g位有りますが一人ではなかなか1サク全部食べれないと思います。

1kg=1,000gですから、
100kg=100,000gとなります。
100kgのマグロの可食部分を半分としますと50,000g
一人前100gとしますと実に500人分にもなります。

これは極端な例ですが、たった1本されど1本。
丸のままの状態でマグロを仕入れてくるのは、まずはそれだけの販売量が必要になります。

なおかつ頭から尻尾まで様々な部位が有り、それらを各パーツ毎に分けて値付けして販売することがこれまた難しいのです。
各パーツ毎に流通している価格=相場が有り、かつその相場は変動します。
一本から取れる各パーツの数量は限られますのでなかなか全て残らず販売する事が難しいのです。
(例えば、マグロ1本から取れるカマは2個だけです)

それに輪をかけて難しいのは「一本一本品質が異なる」ということ。普通どれをとってもあじはあじ、たこはたこですよね。
もちろんどの魚種にも名産地や特殊物がありますが、マグロは産地や時期によって本当に千差万別です。
おまけに処理の良し悪しで、シミや傷等も発生します。

丸のままマグロを仕入れていた件の業者さんが、弊社のマグロ製品を販売してくださるようになった理由は上記のような事だと思います。

マグロ問屋は、そのマグロの持つ良さを見極めてお客様が販売し易い形態・重量に加工しています。
ある程度まとめて加工することで、各パーツ毎に数量が出来ますのでそれぞれ専門の業者さんに販売することも可能です。
まぐろ問屋の存在する意義を自分なりに整理してみました。

では、今日も良いマグロに出会うべく市場へ行って来ます!