写真は先日仕入れたマグロの見本
「スライス」です。
セリ場で「見本」として並んでいるものです。
冷凍マグロのセリ場で、見事お目当ての
マグロを競り落とすと、このスライスと
尾も一緒に付いて来ます。
発泡スチロールを四角く切った上に乗った
このマグロのスライスは、仲卸業者さんが
自分のお客様にマグロをお勧めして
販売する時の見本として利用されています。
お客様はこれを見て、この冷凍マグロが
どういう色目・身質なのか、
脂の乗りはどうか等を判断する材料となります。
私達のようなマグロの仕入れ業者と同様、
いやまたそれ以上に魚屋さんや飲食店の皆さんも
マグロの質を見極める達人なのです。
何十キロも有る大きなマグロの中身を、
この薄っぺらいスライス一枚で判断する訳です。
もちろん切って中身を見てみなければ、
本当のところは分かりません。
けれど大抵の場合、このスライスから
推定される中身のイメージは
あまり大きく外れる事はないと思います。
私自身は、以前冷凍マグロの問屋に勤め
加工場で尾切り選別を経験していますので、
このスライスよりも「尾」の断面をよく吟味して
仕入れの基準としています。
静岡市場の仲卸さんや魚屋さんは、
明らかにこのスライスを基準にして
仕入れをされているように思います。
ちなみに東京の豊洲市場や神奈川の三崎市場では、
このようなスライスはなく「尾」の見本だけです。
昔の築地市場は「尾切り」ではなく、
「切り返し」と呼ばれるやり方でした。
マグロの尾に近い表面を、尾の方から
包丁ですこしえぐるように切り、
その部分を上に折り返している状態です。
雰囲気としては、マグロの尾に
「小さなアンテナ」が立っている
そんな感じでしょうか。
買参人達はその「切り返し」部分を指で触ったり、
切り口から少しだけ見える魚体を観察して
下付けをしていく訳です。
尾切り選別に慣れている私などからすると、
「あんなやり方でよく分かるよな」と思っていました。
よく昔は「築地のセリ残りには、お宝が混じっている」
と言われたそうです。
やっぱりマグロの良し悪しの判別が
「切り返し」では分かりにくかったんでしょうね。
もう何年経つでしょうか、いつのまにか
築地でも「尾切り」するようになりました。
築地から移転した、現在の豊洲市場でも
同様に「尾切り」されています。
尾の見本が魚体の上に並べられています。
現在では、豊洲・三崎・静岡の全ての市場が
同じやり方で冷凍マグロの見本を
並べていることになります。
マグロの「スライス」を見本でつけてくれるのは、
今も昔も静岡市場だけのようです。
産地市場ならではのサービス(?)でしょうか。
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