今年の最上級一本

写真は、暮れも押し迫った12月28日
静岡市場に並んだ天然南鮪の最高級品です。
日本船がケープ沖西で漁獲した天然南鮪の一級品です。
見ての通り、脂の層が深く密で白く見えます。
厚さも指2、3本分位有り、とても深い脂です。
これ位脂が深いと、一体どんな味なんでしょうか?
かと思えば、全く脂の無いマグロも居たりしますので
やはり天然物のマグロは本当に難しいですね。

仲買さんがセリ落とされましたが、
多分高級な寿司店に納品されることでしょう。
そういえば今朝の新聞紙上でも11月は外食産業の売上が
ほぼ前年並みに回復したとの記事がありました。
何とも喜ばしいことです。

冷凍マグロが主に流通している外食産業と言えば
回転寿司チェーンです。
12月に入ってもまだ「大トロ1カン100円」セールなどを
展開していましたが、マグロ高騰の最中ですから
むやみやたらに安売りされると
いち取り扱い業者としては非常に困ります。
もちろん写真のようなマグロは回転寿司には
間違っても並びません。

現在のマグロ業界は、誠に困ったことに
「トロ安、赤身高」が続いています。

養殖のブリやハマチのように、
マグロも日本近海で養殖が盛んになりました。
そうすると赤身ほどは安くはありませんが、
トロの出回りが増えて価格も安くなったのです。
大手回転寿司チェーンで大トロ100円が可能なのも
この蓄養と呼ばれる養殖物の普及のおかげです。
地中海やオーストラリア等、その他の地域でも
以前から蓄養が盛んに行われています。

逆に天然物はコロナ禍の影響で入荷が激減し、高騰した一年でした。
今まで安かった赤身がじわじわと値段が上がり、
安い蓄養のトロとあまり差がないところまできてしまったのです。

来年は少し風向きも変わってくる事を期待しています。
「トロは高いが美味い」「赤身は安いけどこれまた美味い」
来年はもっともっとみなさんに美味しいマグロを食べていただきたい。
その為に精一杯頑張っていきます。
来年も宜しくお願い致します。