私は毎日市場に出向き、冷凍マグロの品質を一本一本確認しながら下付け評価をしています。
良いマグロを、出来るだけ安く仕入れる為です。
基本的に毎日出向くのですが、何故かと言いますと「相場感」を保つ為です。
そのマグロが持つ「絶対価値」とセリに掛かる他のマグロとの「相対価値」との違い、それらの擦り合わせとでも言いましょうか。
大手水産会社が冷凍マグロを尾切選別する時は「鮮度」や「脂」という各社毎の尺度でランク分けをしていきます。
実際の魚の原価から各ランク毎のコストを割り出し、現在の相対で取引される相場を考慮しながら評価付けをしていくのだと思います。
市場でのセリの場合、自分の思う通りには行きません。
沢山の業者さんがライバルとして参加されていますので、自分の評価通りにはマグロは買えません。
その日のセリに参加する方々の動向や、曜日等イベントの有無に大きく左右されます。
セリ人の指し値のおおよその把握も大切です。
このマグロはいくらだったら、落としてくれるのか?
セリに並ぶマグロは毎日異なりますし、数日ごとにロット(産地)も変化していきます。
全てが日々変化していくセリ場は、常に自分なりの尺度を持っていながらも、その上で臨機応変に対応する事が欲しいマグロを仕入れるコツでもあります。
当たる時も外れる時も有ります。
ただどちらでも、現実を素直に受け止め「これが今の相場なんだ」と割り切る。
この感覚は、やはり月に一度では掴めないと思います。
逆に、有る程度の期間を開けて一度冷静な目でセリ場を見直すのも良い事だと思います。
以前はよく神奈川県三浦市の三崎魚市場のセリ場にお邪魔していました。
やはり、各市場毎に好みのマグロが微妙に異なりますので
非常に勉強になりました。
コロナ禍のせいで現在はなかなか行けません。
別の市場を見学する事はとても新鮮で、いつもの場所に対してまた新たな目で見ることが出来るのです。
マグロの相場と株の相場とは似ていると聞いた事が有ります。
恥ずかしながら株の方は全く未経験なので、なんとも言えません。
ただ、冷凍マグロに相場が有る事だけは確かです。
目には見えない、でも大きな相場の流れが有ります。
そんな相場の上げ下げの中で、日々四苦八苦しています。
また明日から頑張ります。