預金通帳の束

写真は繰越済の会社の預金通帳です。
ナンバリングして保管しています。
ちなみに現在は55冊目を使用中。
小さな会社でも、けっこう貯まるものですね。
とは言っても、現在基本的に入出金はネットバンキングで行えますので、通帳に記帳といっても月明けに一回、配達の途中にまとめて行うだけです。

昨年公庫の融資を受けた時、融資の条件に有った「過去三年分の預金通帳」を提出しました。
返却の際、金融機関の融資担当の方から一言「とてもキレイな通帳ですね」と言われ、「恐れ入ります」とだけ答えました。

先方は融資担当、プロの方ですから通帳の内容を見ただけでその会社の業績や経営体質等を理解されるのでしょう。
そんな方から言われた一言。
やはり見る人がみれば直ぐに分かるのだなと、胸をなでおろした次第です。

詳しくは聞きませんでしたが、キレイという表現は
「先に、仕入先等の取引先にまとめて支払う」
「後で、販売先各社から入金が有る」
これを繰り返すことで、通帳の記載が左右でまとまって有るので、左右に凸凹していないという事を言われたのだと思います。
私自身が一番気を付けている部分でしたので、その部分を評価していただき、とても光栄でした。
お陰様で無事に融資を受けることが出来ました。
昨年はコロナ禍で冷凍マグロ相場も低迷していましたので
良い魚を割安で仕入れる事が出来ました。

「お金を借りてマグロを買うなんて!」と思われそうですが、「冷凍マグロの一船買い」は数百トン単位の仕入なのですぐに何億円という単位の金額になってしまいます。
売りと仕入の決済をずらす事が出来れば(先に売上金をもらって、その売上金から支払う)理論上は無資金でも商売は可能です。
ただし、常に先に売り先を見つけなければ仕入は出来ない事になりますから、なかなかそう全てうまくは行かないはずです。

弊社も独立する前段階(営業所)という立ち位置の時期がありました。
その時期は基本的に在庫を持たず、他社から仕入れた商品を販売して先に売上金を回収し、支払いに当てるという形で事業を行っていました。
しかしなかなか思うように行かず、やはり自分たちで商品作りから行わなければ利益が思うようには出ないと考え、独立した経緯があります。

安定して商売をする為には、まずは先に資金を調達してその資金を元に優良なマグロを仕入て加工を行い、加工原価に適切な利益を載せた上で商品を販売し利益を得る。
幸い清水は冷凍マグロの水揚げ基地ですから、市場のセリを含めてマグロの原魚を仕入れる事が可能です。
それこそが、一番安定して利益が出る構図だと思います。
そう結局は、同業他社の先輩方と同じ事をやる事になりました。
記帳済みの通帳の束には、そんな弊社の事業の変遷が事細かに記載されています。

売る為には、まずはマグロを買わなきゃ始まらない。
欲しいマグロを買うためには、お金が無きゃ買えません。
私個人のお小遣いで買える金額では有りません。
お付き合い頂いている金融機関からの融資がなければ、出来ない事です。
融資=信用と考えれば、感謝の気持ちと共に身も心も引き締まる気がします。
毎日セリ場で沢山のマグロに接しているうちに
ついつい忘れてしまいがちですが、仕入れたマグロ一本一本を大切に加工販売するその気持ちを今一度胸に刻んで、今日は加工の日です。