マグロの魚体(なり)

写真は、お盆明けに仕入れたメバチマグロです。
うち一本はガリ(赤身)の縮み、もう一本は脂の縮みです。
どちらが脂物かお判りになりますか?
ちょうど良い例なので、しばし写真のマグロをよく観察してみましょう。

(番号)(重量) (船籍/漁場)
16番    79kg   日本船/西経南
20番  107kg   台湾船/インド洋

魚体の大きさが約30kg違いますから、大きい20番の方が迫力があります。
魚体全体の形を比較してみますと、16番の方はシュッと細長くありませんか?
丸いことは丸いのですが、特に尾部のほうにかけて20番と比べると細いように見えます。

俗に「大ガリ」と呼ばれる、魚体は大きいけれど頭でっかちで胴の部分から先が細く痩せているマグロもあります。
「大ガリ」とはその名の通りガリガリで、痩せているので
脂は全くありません。水揚げ時に出刃を刺しても全く刺さりません。
魚体の大きさ=脂の乗りではないのです。
馬鹿デカくてもガリ、逆に小さくてもめちゃくちゃ脂が乗っていることも。
これがマグロの目利きの難しいところです。

「ガリ」になるか「脂物」になるかは、そのマグロが釣れた漁場と時期が大きく関係しています。
餌の豊富な良い漁場で、盛漁期に漁獲されたマグロは魚体の大きさに関係なく、程よく脂が乗っています。
まずは最初に魚体全体の姿形(なり)を見ることが大事です。

写真でも見て分かる通り、メバチマグロは体高があって体に厚みのある魚種です。
そんなメバチマグロのなかでもさらに言えばずんぐりむっくりの形の方が、脂が乗っている確率が高いです。
いわゆる「ずんどう」と呼ばれる、下半身(マグロで言えば下腹部から尾にかけての部分)が太いと脂が乗っています。
脂物とガリの違いは、ズバリ下半身の太さで分かります。

写真に戻りますと、20番のマグロは魚体が大きいだけでなく下半身も結構太めです。そこそこ脂ありそうです。
もうお分かりのように、
16番 ガリ(赤身)の縮み
20番 脂のやや縮み(脂は深くはありません)
という結果でした。

マグロの目利きで大切なのは、まずは魚体の「なり」を確認すること。
尾の見本を観察することも大切ですが、やはり体全体を見て、そのマグロの持つ特性を確認する事が良いマグロを仕入れるコツだと思います。